統合失調症のご家族を支えるあなたの心と体の疲れ:負担を軽くする具体的な工夫と相談先
日々、ご家族を支える皆様へ
統合失調症のご家族と日々向き合っていらっしゃる皆様、本当にお疲れ様でございます。大切なご家族を思うからこそ、知らず知らずのうちに、ご自身の心や体に大きな負担がかかってしまうことは少なくありません。
このサイトをご覧になっているということは、ご自宅でじっくりと、ご自身のペースで情報を得たいとお考えのことと存じます。この記事では、ご自身の心と体の疲れに気づき、少しでも負担を和らげるための具体的な方法や、いざという時に頼りになる相談先についてお伝えいたします。
決して一人で抱え込む必要はないことを、どうか知っていただければ幸いです。
ご自身の心と体の疲れに気づくサイン
ご家族のケアに追われていると、ご自身の疲れに気づきにくいものです。しかし、無理を続けると、心身のバランスを崩してしまう可能性もございます。まずは、ご自身の心と体に耳を傾け、以下のようなサインがないか確認してみましょう。
- 気持ちの変化:
- 以前は楽しめたことに興味がわかない、億劫に感じる。
- 些細なことでイライラしたり、落ち込んだりすることが増えた。
- 気分が晴れない日が続く。
- 睡眠の変化:
- 夜になかなか寝付けない、または朝早く目が覚めてしまう。
- 眠りが浅く、熟睡感が得られない。
- 食欲の変化:
- 食欲がわかない、あるいは食べすぎてしまう。
- 味がよく分からないと感じる。
- 体の不調:
- 頭痛や肩こり、腰痛、胃の不調など、体の不調を感じやすくなった。
- 体がだるく、疲れが取れにくい。
これらのサインは「疲れている」という体からの大切なメッセージです。無理をせず、ご自身のケアを考えるきっかけにしてください。
日々の負担を少しでも軽くする具体的な工夫
ご家族のケアをされている中で、ご自身の負担を少しでも減らすための工夫をいくつかご紹介いたします。ご自身の状況に合わせて、できることから試してみてはいかがでしょうか。
完璧を目指しすぎない気持ちを持つ
ご家族のためにすべてを完璧にこなそうとすると、かえって負担が大きくなってしまいます。
- できる範囲で、できることを行うという気持ちで十分です。
- 少しくらい家事が手抜きになっても、ご家族の生活に大きな影響はありません。
- 「今日はここまでできれば十分」と、ご自身を許してあげてください。
意識的に休息の時間を取る
短時間でも構いませんので、意識的にリラックスできる時間を作りましょう。
- お茶を淹れて静かに過ごす、好きな音楽を聴く、数分間目を閉じて深呼吸するなど、ご自身が心地よいと感じる時間を設けてみてください。
- ご家族がデイケアや作業所に行かれている時間などを活用するのも良い方法です。
- 誰かに見てもらえる時間があれば、少し遠出をして気分転換を図ることも大切です。
周囲に助けを求める勇気を持つ
「自分が頑張らなければ」という気持ちはとても尊いものですが、時には周りの力を借りることが大切です。
- ご夫婦や他のごきょうだいなど、協力してくれる方がいれば、役割を分担したり、一時的に代わってもらったりすることも考えましょう。
- ご近所の方や親しい友人に、買い物やちょっとした用事を手伝ってもらうだけでも、負担は軽くなります。
ご自身の心と体を癒す時間を持つ
ご家族のケアと同じくらい、ご自身の心身を労わることも大切です。ご自身が元気でいらっしゃるからこそ、ご家族を長く支え続けることができます。
趣味や楽しみを大切にする
短時間でも、ご自身が心から楽しめることに時間を使ってみてください。
- 軽い散歩、園芸、読書、絵を描く、友人との電話など、気分転換になることは何でも構いません。
- 好きなテレビ番組を見る、懐かしい写真を眺めるなど、心が穏やかになる時間を持つようにしましょう。
適度な運動を取り入れる
散歩やラジオ体操など、無理のない範囲で体を動かすことは、気分転換になり、心身のリフレッシュに繋がります。
- 特に日中の軽い散歩は、気分転換になるだけでなく、太陽の光を浴びることで心の健康にも良い影響があると言われています。
- 座ったままでもできる簡単なストレッチや体操でも十分です。
信頼できる人に話を聞いてもらう
悩みを一人で抱え込まず、信頼できる友人や親戚に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
- 話すことで、ご自身の気持ちが整理されたり、新たな視点が見つかったりすることもあります。
- ただ聞いてもらうだけでも、「一人ではない」と感じられる安心感を得られるでしょう。
頼りになる相談先を知る
一人で抱え込まず、専門機関や地域の支援を活用することが、ご自身の負担を軽減する上で非常に重要です。ご自宅でゆっくりと検討し、必要に応じてご連絡されてはいかがでしょうか。
地域活動支援センター・相談支援事業所
お住まいの地域にあるこれらの施設は、統合失調症のご本人だけでなく、ご家族からの相談も受け付けています。
- 日常生活の困りごとや、利用できるサービスについて、無料で相談できます。
- 具体的な制度の利用方法なども教えてくれますので、まずはご自身の地域の窓口を探してみることをお勧めします。
精神保健福祉センター
各都道府県・指定都市に設置されている専門機関です。
- 精神保健福祉に関する幅広い相談に応じており、専門のスタッフが具体的なアドバイスを提供してくれます。
- 電話での相談も可能ですので、外出が億劫な時でも、ご自宅から安心して相談できます。
家族会
統合失調症のご家族を持つ方々が集まり、情報交換や支え合いを行う場です。
- 他のご家族の体験談を聞いたり、ご自身の悩みを打ち明けたりすることで、「自分だけではない」という安心感を得られます。
- 同じ立場の人と話すことで、具体的なヒントが見つかることも多くあります。
- 最近ではオンラインで開催される家族会もありますので、ご自宅から参加できる場合もございます。
主治医や病院の医療相談室
ご本人の治療に加えて、ご家族が抱える悩みについても、主治医や病院の相談員に話してみましょう。
- 病状の変化や今後の見通しについて説明を受けたり、利用できる地域のサービスについて教えてもらえたりします。
- 定期的な診察の際に、短い時間でもご自身の気持ちを伝えるだけでも、医師はご家族の状況を理解する手助けになります。
最後に:あなた自身を大切にすること
ご家族の統合失調症と向き合いながら、ご自身の心と体の健康を保つことは、決して簡単なことではありません。しかし、ご自身を大切にすることこそが、長くご家族を支え続けるための大切な一歩となります。
疲れを感じたら、無理をせず休息を取り、時には周りの方や専門機関の力を借りてください。決して一人で悩みを抱え込まず、このサイトや地域の相談窓口を頼っていただければ幸いです。
「自分だけではない」ということを忘れず、一歩ずつ、ご自身のペースで進んでいきましょう。